長谷川浩
四六判/168ページ/本体価格1800円+税
2013年3月/ISBN-13: 978-4-86187-101-6
3.11で、食料もエネルギーも自給できない都市の脆さが露わになった。
石油生産はまもなくピークを迎える。石油依存の食料生産と長距離輸送が
行き詰まれば、食料の6割を海外に頼っている日本は食料危機が避けられない。
唯一の解決策は、“自産自消”=市民自らが食べものを有機栽培で
生産・消費し、エネルギーも自分の手でまかなうことだ。
自ら実践する著者が持続可能な生き方を提案する。
第Ⅰ部 ピークオイルと食料危機がやってくる
最後の石油ショック
地球規模の気候変動
最大の難題=食料危機
第Ⅱ部 21世紀の持続可能な生き方
有機農業の原理
米・麦・大豆・いも類の自給
家畜の飼い方
地域資源の活用
エネルギーの自給
農地・里山の再生
地域で自然に寄り添って生きる
長谷川浩(はせがわ・ひろし)
1960年 岐阜県生まれ。
2012年 会津(福島県)の山里で自産自消の生活を開始。
現 在 福島大学うつくしまふくしま未来支援センター連携研究員、NPO法人福島県有機農業ネットワーク理事、NPO法人CRMS市民放射能測定所福島副理事長、日本有機農業学会副会長、有機農業技術会議理事。
農学博士(専門:有機農業学)。
2013年4月から、私塾「早稲谷大学」を開講し、本書をテキストに連続講座を開始
(http://sites.google.com/site/wasedanidaigaku/)参照。
編 著 『放射能に克つ農の営み』(コモンズ、2012年)
共 著 『有機農業研究年報(1~8)』(コモンズ、2001~2008年)
連絡先 〒969―4109 福島県喜多方市山都町早稲谷字本村397
書評オープン 自ら農作物を生産し、家畜を飼い、自ら調理して消費する――という意味を込め、「自産自消」を提唱する。化石エネルギー利用は最小限、環境にできるだけ負担をかけない農業と生活で生き残る術を伝授する。 『日本農業新聞』(13年3月24日) 「地産地消」。ある地域で生産、消費すること。今や誰もが口にする。作り手の顔が見えやすく「安全・安心」の代名詞のようだ。地域活性化の切り札にもなり、それらを語る上で欠かせない熟語になった。 『日本農業新聞』(13年5月10日 四季欄よりより抜粋) (前略)本書では、具体的に人が飢えることなく生存し続けるための、カロリー源としてデンプンと脂質、たんぱく質の確保が重要とし、これらを豊富に含む食品であるイネ、ダイズ、ムギなどを栽培する方策や、その備蓄方法を示していきます。また、燃料を使わない農具、まさひ人・家畜による協同の生活と、さらにはエネルギーの自給モデルも示され、循環型社会について具体的な提案がされています。 『文化連情報』(13年8月号 書評欄より抜粋) 「日本農業新聞」(13年3月24日、5月10日)、「月刊ガバナンス」(13年6月号)、「出版ニュース」(13年7月下旬号」、「電子耕」(農業文化メールマガジン、13年7月18日号)、「文化連情報」(13年8月号)などで紹介されました。
人を幸福で健康にし、社会を持続的にする基本は
1、足るを知り、不便さを引き受ける
2、農林水産業を基盤に、自然に寄り添って生きる
3、大自然の脅威の前では、人は微力な存在である。一人ではいきていけないから、地域共同体の中で暮らす知恵を身に付ける
4、長期的な視点を持って、自発的・内発的に行動する――の4点だという。
これから訪れる最後の石油ショック、気候変動、これに連動する食糧不足。生き残るためには持続可能な生き方が必要になる。「その時」どのように農作物を作り、生活をするのかが書かれている。その基本は再生可能な昔のくらしにある。
環境の面からも重要視されている。消費地までの輸送距離が比較的短く、二酸化炭素の排出量も少ない。それだけ地球環境に優しい消費形態と評価される。だから環境用語としての意味合いも持つ。(中略)
その原点に戻るような提案が始まった。地産地消ならぬ「自産自消」。自ら栽培、飼育して食べること。水やエネルギーも含めた自産自消こそ人類が生き残れる術という。基本は再生可能な暮らし。「80歳前後の高齢者が先生」と『食べものとエネルギーの自産自消』(コモンズ)は説く。(後略)
人が幸福で健康に生きるとは、安心安全な食べ物、そして地域のコミュニティ、大自然と寄り添い、その声の聞くことのできる距離で生きること。経済優先の社会の中で、いつしかこれらを忘れていった結果が、現在起きている様々な社会問題を引き起こしているのです。