田中優(未来バンク理事長)編著
四六判/232ページ/本体1800円+税
2008年11月/ISBN 978-4861870538
大切なおカネだから、環境保全や平和、暮らしのために使いたい。
社会的な事業に低金利で融資して新たな経済のあり方を提案する。
いま注目のNPOバンクの全容を詳しく紹介し、おカネの奴隷にならない世界へ道筋を描く。
はじめに──おカネをコントロールしよう
第1章 おカネの奴隷からの解放
1 NPOバンクとは何か
1 おカネとつきあう
2 もぐらたたきゲームは続かない
3 金融と環境のかかわりを調べる
4 NPOバンクの現状
2 NPOバンクの魅力〔田中優〕
1 市民セクターに融資する
2 リスクがあっても必要な融資は行う
3 地域を元気にする
4 融資で社会が変わる
5 エコで健康な住宅を広げられる
第2章 Shall we Bank?
1 NPOバンクのつくり方〔田中優〕
1 組織形態と法的問題
2 関係者が平等に利益を得られる仕組み
3 運営に必要な知識
4 運営者に求められる資質
2 NPOがお金を貸す〔田中優〕
1 融資審査をどう行うか
2 リスクを減らす努力
3 情報公開の意味
3 思いをつなげるNPOバンク──出し手と借り手の間にあるもの〔水谷衣里〕
1 応援団を可視化する
2 金融のオルタナティブ・お金の地産地消・「レゾナンス」
3 融資の仕組み
4 社会に必要な活動を支えるために
第3章 日本のNPOバンク
1 さまざまなNPOバンク
1 地域社会をよくする相互扶助金融──女性・市民信用組合設立準備会〔向田映子〕
2 行政と市民活動の〈健全な〉なれあい──北海道NPOバンク〔杉岡直人〕
3 市民による市民のための金融システム──東京コミュニティパワーバンク〔坪井眞里〕
2 生活の再建をめざして──生活サポート生活協同組合・東京〔横沢善夫〕
1 貸金業法の改正
2 私たちの生活再生支援事業
3 生活相談こそが必要とされている
4 総量規制と多重債務者対策の推進──改正貸金業法の注目点
5 NPOのための総合的な支援バンク──NPO夢バンク
第4章 世界に広がるNPOバンク
1 ヨーロッパの社会的銀行〔向田映子〕
2 イギリスのコミュニティ開発金融機関〔小関隆志〕
3 「市場の失敗」の是正──米国とフランスの経験から〔前田拓生〕
第5章 おカネが変われば世界は変わる
1 金融が変わりはじめた〔土谷和之〕
2 NPOバンクの課題と全国NPOバンク連絡会〔加藤俊也〕
1 非営利・公益の金融事業のための法制度をもとめて
2 NPOバンクに関係する法制度の問題点
3 市民社会を切り開くNPOバンクの可能性〔前田拓生〕
4 NPOバンクがめざす未来〔田中優〕
<資料1> 全国のおもなNPOバンクの概要
<資料2> NPOバンクの年表
あとがき──ギフト・アンド・レシーブの世界へ
書評オープン 『現代農業』(2009年2月増刊)より タイトルをおカネが変われば世界が変わる」と付けましたが、今回の金融不安が起きたからではなく、まったくの偶然です。「NPOバンクって何?」と、よく質問されることが多いので、仕組みや作り方、日本と欧米の現状をまとめました。(中略)お金に使われる人生ではなく、お金を「コントロール」できるようになれば、私達はもっと幸せになれるはずです。今、日本全体に閉塞感が強くなっていますが、一方で、地域が活力を取り戻せるチャンスでもあると私は確信しています。 『サンデー毎日』(2009年1月18日号)より 市民のお金を集め、市民生活に役立つ取り組みに融資しようというNPOバンク。個人の出資や生協の応援、行政との協働などの方法で、事業を立ち上げる市民団体や多重責務者に資金を貸し付けて支援する、ユニークな融資を行っている。ヨーロッパ諸国の先駆的な取り組みや、法制度の課題も丁寧に解説。「おカネがもうかればそれでいい」という社会に風穴を開けようとする新鮮な一冊だ。 『北国新聞』(09年1月11日)・『富山新聞』(09年1月11日)〔共同通信配信記事〕より 英国の劇作家バーナード・ショーは自分に最も影響をあたえた書物は預金通帳だったといったそうだが、どこに自分のおカネを預けるかにとって私たちは世界を変えることができる。いつもながら田中さんの本は、私たちの目を新たな認識へと開きながら具体的実践に誘う、元気の丸薬だ。 『週刊金曜日』(09年2月6日号)より 『日本NPO学会ニューズレター』(08年12月号)、『ふぇみん』(2009年新年号)、『月刊ガバナンス』(09年1月号)、『債務と貧困を考えるジュビリー九州ニュースレター』(vol.27))、『現代農業』(09年2月増刊)、『サンデー毎日』(09年1月18日号)、『北国新聞』(09年1月11日)・『富山新聞』(09年1月11日)(共同通信配信記事)、『ふぇみん』(09年1月15日号)、『週刊金曜日』(09年2月6日号)、『クレヨンハウス通信』(vol.332)、『毎日夫人』(09年3月号)、『週刊金融財政事情』(09年2月16日号)、『月刊フィランソロピー』(09年4月号)で紹介されました。
加速度的に進んでゆく金融不安、食料危機、エネルギー危機、地球温暖化。「おカネ」→「いのち」の時代への価値転換は「待ったなし!」です。そのためにこの本は必読です。著者の田中優氏はこの本のなかで「私たちは、地方が疲れていくのは地域に資金が残らないからだと考えている。地方の人たちのほうが、収入に対して貯蓄金額に比率が高い。ところが、その資金はすべて金融機関によって集められ、たいていの場合は東京を使い道を決めてしまう」と述べています(中略)「成長の限界」と「持続可能な未来」を人類共通の課題として、一人ひとりが考えていくうえで、ぜひ読んでほしい一冊です。