写真集キャンドル革命——政権交代を生んだ韓国の市民民主主義

キム・イェスル〈著〉、キム・ジェヒョンほか〈写真〉、パク・ノヘ〈監修〉、
白石孝〈日本語版監修・解説〉、韓興鉄〈訳〉
定価:本体3400円+税、B5変形判、312ページ、上製、一部カラー
ISBN:978-4-86187-163-4 C1073

2016年、大韓民国の1,700万市民がキャンドルを持ち、
不正義の権力を弾劾し、民主主義を実現した「キャンドル革命」。
「すべての権力は国民より発する」という大韓民国の憲法精神を
証明した世界史的事件でした。
世界の歴史上、このように美しく平和的で偉大な市民革命はありません。
その「キャンドル革命」の記録を集大成した「民主主義の事典」
『キャンドル革命』写真集が日本で発刊され、嬉しいです。
政治変化を熱望する日本の市民に、勇気とインスピレーションを与えることを願います。
 ――パク・ウォンスン(大韓民国ソウル市長)

テレビやスマホの画面越しに見ていた映像とは一味違う、
さまざまな人びとの姿や場面、言葉、それらが生じた背景が1冊の写真集となった。
学生・若者が先頭に立ち、たくさんのの人びとが集まって変えてきた韓国の政治。
日本に、沖縄に、その時機は(再び)訪れるのだろうか。
彼ら・彼女らに、私たちは学ばなければいけないと強く思わされた。
どうしようもないこの国で生き、燻っていた私のろうそくに、そっと火が灯されたのを感じた。
  ――元山仁士郎(「辺野古」県民投票の会元代表・一橋大学大学院生)

 

嫌韓から知韓へ!約1700万人が参加し、大統領を退陣に追い込み、新たな政権を実現した市民民主主義の軌跡を写真と文章で丹念にたどる

2016~17年に人口の3分の1にあたる約1700万人が参加して韓国全土で行われたキャンドル市民革命は、朴槿恵大統領を退陣に追い込み、新たな政権を実現。各国に大きな感動を与えた。その軌跡を写真と文章で丹念にたどり、日本の政治を変えるために何が学べるかを考える。日韓関係が史上最悪と言われる今こそ、隣国で何が起きていたのかを知り、理解を深めたい。韓国が好きの読者にも民主主義に関心がある読者にも最適の書

目次

序 われらが手にしたものはキャンドルだったが、胸に抱いたのは革命だった
数字で見るキャンドル革命
キャンドル革命主要日誌

1 これが国なのか
国政介入は「秘密政府の国家内乱」
軽快に反抗する若者世代がやってきた
朴正熙・朴槿恵時代の最大の犠牲者=農民
キャンドル市民の発言


2 100万本のキャンドル

怒りの根源、不平等の二極化
国勢調査聴聞会7つの決定的シーン
100万人の歓声の戦慄、感動、恐怖
世界が驚いた100万本のキャンドル

3 国会は大統領を弾劾した
朴槿恵の妄言
ストリートや広場での名スピーチ
親朴集会、太極旗がひどい目に
国民がリードし、政治が従った

4 解放広場
歴史の広場、分かち合いの広場、世界の広場
キャンドル集会の現場、運動の声
新しい人、新しい集会
巨大メディアの世論独占が砕かれる
広場を守った朴元淳ソウル市長

5 降りしきる雪のなかで闘ってきた
特別検事、決定的な7つの場面
経済より正義という歴史的宣言
熱かったあの冬、われわれは分かち合うことで一つになった
清算なくして未来はない

6 ついに勝利、革命の始まり
憲法裁判所が弾劾を認める
「驚きだた、うらやましい、倣おう」世界中が韓国の民主主義を報道
弾劾勝利、市民の言葉
これが国だ、これが正義だ」
キャンドル革命が成し遂げたこと

著者プロフィール

文章 キム・イェスル
1986年ソウル生まれ。2010年高麗大学経営学科在学中に「今日、私は大学を辞める、いや拒否する」という題名の壁新聞を貼って中退を宣言した。当時、彼女の大学拒否宣言はテレビのトップニュースや新聞、ポータルサイトの1面などで紹介され、熱い論争と静かで強力な共感を引き起こした。その後、メディアや政治への参加を断り、非営利社会団体「ナヌム(分かち合い)文化」の事務局長として仕事をし、国内外で苦しんでいる隣人のための現場活動やオルタナティブな暮らしを提起する文化運動に力を注いできた。「キャンドル革命」の現場では、歴史的瞬間とその意義を記録してきた。著書に『キム・イェスル宣言-今日私は大学を辞める、いや拒否する』(2010)がある。

写真 キム・ジェヒョン
1985年江原道太白生まれ。漢陽大学法学科在学中に「大学生ナヌム文化」に出会い、「別の道」を目指すようになった。2008年から「ナヌム文化」社会行動課長として活動し、韓国社会で最も切迫した問題をかかえる現場を走り回ってきた。4大河川の生き物、慶尚南道密陽(ミリャン)の送電塔建設に立ち向かった人々、済州島の江汀村(カンジョンマウル)の住民、サンヨン自動車のストライキ労働者、原発立地の地域住民、サムスンの職業病被害者、そして農民の故白南基さんとセウォル号遺族らのそばで、現場の奥深い話や内面の表情を写真と文章で伝えてきた。2016年のキャンドル集会の初日から弾劾勝利と政権交代を成し遂げた23週間の全ての日々を広場で過ごし、市民の様子を記録した。

監修 パク・ノヘ
詩人。写真家。革命家。1957年全羅南道生まれ。16歳で上京し、日中は労働者として生活し、夜は善隣商業高校に通った。1984年、27歳で初の詩集『労働の夜明け』を出版し、韓国社会と文壇にショックを与えた。1989年「南韓社会主義労働者同盟(社労盟)」を結成した。7年あまりの指名手配の末に、1991年安全企画部に逮捕、拷問後に死刑が求刑されたが、判決で無期懲役に処された。1998年、7年6カ月ぶりに釈放された。その後、民主化運動の功労者として復権したが「過去を売って今日を生きることはしない」と言って国家報償金を拒否した。2000年「ナヌム文化」を設立、2003年イラク戦争の戦場に飛び込み、海外の貧困の現場や紛争地で平和活動を続けてきた。著書に『真の始まり』(1993)、『ひとこそ希望だ』(1997)、『だから君よ消えることなかれ』(2010)、『他の道』(2014) などがある。

書評オープン


朝日新聞』(2020年2月7日)、『新社会』(2020年2月18日)、『週刊金曜日』(2020年3月20日号)、ふぇみん(2020年4月15日)で紹介されました。