スハルト・ファミリーの蓄財

村井吉敬・佐伯奈津子・久保康之・間瀬朋子 著
四六判/304ページ/本体2000円+税
1999年11月/978-4906640263

2兆円とも8兆円ともいわれるインドネシア元大統領一族の資産。法律を曲げ、国民を食い物にしてきた蓄財のメカニズムと、それを支えた日本政府や企業の深い関与・癒着を、現地資料と調査により徹底解明。

目次

序 章 スハルト・ファミリーの蓄財と日本
 1 大富豪スハルト
 2 蓄財疑惑と財団(ヤヤサン)の存在
 3 見逃せない日本の関与
 4 膨大な情報を分析して調査

第1章 スハルトの「開発の時代」
 1 スカルノ、スハルト、ハビビ、メガワティ
 2 スハルトの「開発の時代」
 3 開発と暴力
 4 スハルトとそのファミリーたち

第2章 スハルトの蓄財術
 1 一九五〇年代に身につけた錬金術
 2 ティエン夫人の登場
 3 蓄財を告発する学生の闘い
 4 強引に造ったタポス牧場
 5 ファミリーと華人政商と
 6 「搾乳牛」としてのプルタミナ
 7 ファミリーの蓄財方法

第3章 ファミリー企業と財団、クローニー
 1 蓄財総額は約八兆円
 2 スハルトとティエン夫人の蓄財
 3 娘・息子・孫の富とビジネス
 4 二人の義兄弟
 5 クローニーとしての華人財閥
 6 KKN体質も引き継いだハビビ

第4章 これがファミリー・ビジネスだ
 1  食べる
 (1)サリム・グループが握る小麦粉・食品
 (2)クローニーと食糧調達庁が結託する米輸入
 (3)孫の会社に与えた無茶苦茶なアルコール課徴権
 (4)トミーの介入で混乱した丁子ビジネス

 2 動く
 (1)兄弟が争った「国民車」計画
 (2)トゥトゥットが仕切る有料道路
 (3)不透明な地下鉄建設
 (4)ハビビが推進した国民と無縁の航空機開発

 3 暮らす
 (1)バンバンやティティックが法を曲げて造るショッピング施設
 (2)銀行の極度の私物化
 (3)運転免許証や住民登録証まで私物化するトゥトゥット
 (4)言論統制の手段としてのメディア
 (5)「スハルトのお墨付」で始まった水道の民営化
 (6)ディズニーワールドからつばめの巣まで孫ビジネス

 4 造る
 (1)ボブ・ハサンがほしいままにしてきた合板輸出
 (2)相次ぐ不法な不動産・土地開発
 (3)武器ビジネスで国軍を怒らせる
 (4)鉱山開発企業に多くの優遇措置
 (5)流用された森林再生基金

 5 東ティモールにおけるスハルト・ファミリーの利権

第5章 日本=インドネシア癒着とODA
 1 スハルト体制を支えてきた日本
 2 きわめて強い日本=インドネシア関係の構図
 3 賠償からODAへ
 4 渡辺美智雄の疑惑
 5 「ミスター・ジャパン」ギナンジャーナルのビジネス

第6章 日本のビジネスとの深い関係
 1 暴露された日本企業のリベート・鉄建建設、鹿島など
 2 製油所プロジェクトの建設費水増し・三井物産、日揮など
 3 日本政府の圧力が指摘された電話事業・日本電気、住友商事など
 4 出資した石油化学産業は赤字続き・丸紅、昭和電工など
 5 住民の土地を奪うパルプ工場への関与・OECF、日本製紙など
 6 ファミリー企業の電力事業参加・輸銀、三井物産など

エピローグ 新・正副大統領の誕生と腐敗政治からの脱却
 1 ワヒド大統領とメガワティ副大統領
 2 大統領選挙絡み?のバリ銀行スキャンダル
 3 腐敗した開発政治からの脱却

読者の声

読者の声オープン


 本書は30年来にわたってスハルト体制を裏側から支えた日本企業・政府の有様、仕組みがよく理解できるように記してある。今後中学・高校の課題図書として推奨していきたい。

(41歳・男・教師)