天笠啓祐(ジャーナリスト) 著
A5判/128ページ/本体1300円+税
1998年6月/978-4906640140
ホルモンや内分泌の働きに始まり、食器やラップなど身のまわりのものからの検出の実態、暮らしのなかで何をどう避けたらよいのかまで、自然科学が苦手な人にも理解できるようにまとめられている。
第1章 自然界に異変が起きている
1 化学物質による攪乱作用
2 相次ぐ生物の異常
第2章 蝕まれる人間
1 種の絶滅への恐れ
2 アレルギーが増えている
3 子どもたちの行動がおかしい
第3章 内分泌とホルモン
1 内分泌が健康を保つ
2 ホルモンにはどんな種類があるか
3 環境ホルモンが性を攪乱する理由
第4章 これが環境ホルモンだ
1 環境ホルモンはなぜ有害なのか
2 生殖機能の異常を起こす
3 ホルモンをつくる力を弱める
4 ガンや免疫力の低下を引き起こす
第5章 こんなものから検出された
1 ごみ焼却場からダイオキシン
2 カップ麺からスチレン
3 食器や哺乳ビン、缶詰などからビスフェノールA
4 ラップやおもちゃからフタル酸類
5 食べ物からダイオキシンやホルモン剤
6 水道水からノニルフェノールなど
7 住宅は環境ホルモンだらけ
8 化粧品のBHAとフタル酸エステル類
第6章 とくに危険な環境ホルモン
1 ダイオキシン
2 ジベンゾフラン、PCB
3 プラスチック
4 殺虫剤
5 殺菌剤
6 除草剤
7 重金属化合物
第7章 暮らしに潜む環境ホルモンの避け方
1 ダイオキシンを出さない・摂らない
2 プラスチックをできるだけ減らす
3 安全な食生活の原則
4 住まいで病気にならないために
5 抗菌製品・電気製品にも気をつけよう
6 自動車の利用を少なくする
7 大量生産・大量消費・大量廃棄の見直し
第8章 求められる規制と対策
1 新しい考え方に立った規制
2 根本的な対策
環境ホルモンとみなされる化学物質一覧表
書評オープン 『朝日新聞』(1998年7月30日より) ※このほか、『日本農業新聞』(98年8月5日)、『教育家庭新聞』(98年8月8日)、『PROCESS』(98年vol.951)、『中日新聞』(98年8月4日)、『晨』(98年9月)、『給食ニュース』(98年8月28日)、『ほんコミ』(98年8月)、『秋田さきがけ』(98年8月31日)、『週刊金曜日』(98年7月17日)、『河北新報』(98年9月20日)、『健康ファミリー』(98年11月)、『新文化』(98年9月17日)、『くらしの提案』(NO.984834)などで紹介されました。 読者の声オープン この本はとても読みやすくあっという間に読み終えました。しかしながら、読み終えると絶望感がおそってきました。1日、いや1秒でも早く対策しなければ…と思い、今、家中のプラスチック製品その他の表示を確認しているところです。ショッキングな1冊でした。 (32歳・女) 実践的に書かれていたのがとてもよかったです。問われているのは便利さをひたすら追求してきた私たちの生活そのものであり、価値観を転換することです。何やら文明・文化というものを否定しなくてはいけないような気にもなるのですが、今の社会がおかしい、どう変革すべきかという方向性で考えていきたいと思いました。 (27歳・女)
動物の生殖器官に異常をきたすとか、人の精子の減少にも影響があるのではとか、「環境ホルモン」(内分泌かく乱物質)をめぐる話題が盛んだ。しかし、何がどう作用するか解明されないまま危険性が強調され、不安を抱く人も多いのではないだろうか。
この本は、環境ホルモンと言われる物質の種類や、本来の体の働きを乱す仕組みの解説に加え、「どう避けるか」に重点を置いた。
例えば、ごみ焼却時にダイオキシンを発生させないために、塩素を含む製品を使わない。農薬を避け、食物繊維や緑黄色野菜を食べて体への吸収を減らす。プラスチックの使用を減らし、使い方に気をつける。殺虫剤や殺菌剤はむやみに使わない、という具合だ。
筆者の提案は、どれも大量生産・大量消費の生活の見直しに結びつく。暮らし方を一変させるのは無理でも、少し危機意識があればすぐに、いくつか実行できそうだ。