地域漁業の社会と生態──海域東南アジアの漁民像を求めて

北窓時男 著
A5判/328ページ/本体3900円+税
2000年2月/978-4906640287

インドネシアを中心とする島々の多様な漁業の様子と海民たちの姿、漁業技術の蓄積と変容、移動分散・ネットワーク型の生活世界を「歩く・見る・聞く・体験する」手法でいきいきと活写。写真多数。

目次

序 章 海域東南アジアへの旅立ち

第1章 地域漁業の時間と空間
 1 地域漁業の時間軸
 (1)漁業史の概観
 (2)地域漁業の現在
 2 地域漁業の空間軸
 (1)海という対象
 (2)人間という主体
 (3)道具という手段

第2章 漁民の集合と分散
 1 マラッカ海峡の漁民と魚商人
 (1)マラッカ海峡の漁業環境
 (2)ルパット島の漁民と頭家
 (3)ベンカリス島の漁民と頭家
 (4)「頭家・漁民」関係の決定要因
 2 マルク海の漁民と水産会社
 (1)移動分散型社会とPIRシステム
 (2)各地のPIRシステム
 (3)「核会社・漁民」関係、その外的決定要因
 (4)「核会社・漁民」関係、その内的決定要因
 (5)漁民の集合原理

第3章 漁業技術の蓄積と変容
 1 伝統的まき網漁業の技術蓄積
 (1)ジャワ島東部のパヤン漁業
 (2)漬け木の技術蓄積
 (3)パヤンの技術蓄積
 (4)漁村社会の変容
 2 伝統的まき網漁業の持続性
 (1)プラブハンラトゥ港の自然と漁業
 (2)漁場形成の条件
 (3)パヤンの技術蓄積
 (4)パヤン漁業の持続性を支える条件

第4章 漁村と地域の形成
 1 マラッカ海峡の漁村と張網漁業
 (1)ベンカリス県の張網漁業
 (2)半農半漁村の張網漁業
 (3)純漁村の張網漁業
 (4)生産力の展開と漁業経営
 (5)漁村の形成要因
 2 マルク海の風土とカツオ一本釣り漁業
 (1)カツオ一本釣り漁業の変遷
 (2)カツオ一本釣りの技術と経営
 (3)地域産業としてのカツオ漁業
 (4)地域の形成と「場の包容力」

第5章 漁業の伝播と適応
 1 まき網漁業の伝播と、その生態
 (1)パヤン系の種類と分布
 (2)漬け木の分布と生態
 (3)巾着網・リングネット系の種類と分布
 (4)まき網漁業の伝播と適応
 2 ブギス人の移動と敷網漁業の伝播
 (1)バガンの種類と分布
 (2)南スラウェシ半島と風土とバガン
 (3)ブギス人の移動とバガンの伝播
 (4)バガンの風土と伝播パターン

第6章 圏的地域とネットワーク世界
 1 空間のアイデンティティ
 (1)地縁技術共有という考え方
 (2)地縁技術共有圏の設定
 (3)地縁技術共有圏の形成と変容
 2 海域ネットワークと漁民の世界観
 (1)漁民にとっての空間と時間
 (2)空間のネットワーク
 (3)時間のネットワーク
 (4)海域ネットワーク社会の基本要素
 (5)世界観をつくる

あとがき