石田周一(地域作業所グリーン所長)著
四六判/284ページ/本体1900円+税
2005年5月/ISBN 978-4861870033
福島智〈東大教授〉推薦。「本書は『障害者の農園』というユニークな実践記録をとおして、今の社会や人が忘れかけた、きらりと光る『なにか』を呼び覚ましてくれる。読後には爽やかな風がからだを吹き抜ける」
プロローグ ぼくたちの田園都市生活
【春】第1章 希望を播く
1 耕して始まる畑の春
2 始まりはジャガイモ
3 春の味をムシャムシャ
4 ソメイヨシノの咲くころ
5 新人さんを迎える
6 希望を播く
7 歓迎できないゴールデンウィーク
8 新緑に語った夢
9 農の仲間たち
【夏】第2章 汗、汗、汗
1 草との闘い
2 人も育てる田植え
3 自立への歩み
4 田園の快楽
5 原点は夏の汗
6 ひるめしのもんだい
【秋】第3章 内なる収穫
1 虫をつぶす
2 さまざまな収穫
3 稲刈りは「冥利をよく」
4 祭りの季節
5 「ひとくくり」から「ひとりひとり」へ
6 福祉職員という生き方
【冬】第4章 力をたくわえる
1 手前味噌を仕込む
2 堆肥づくり、土づくり
3 宿泊の思い出
4 成人を祝う会
5 グアムにも行きました
6 厳しい指導
7 里山にて
【未来へ】第5章 今を輝かせて
1 親たちとつくったグリーン
2 暮らしを創る
3 ぼくたちの畑を
書評オープン 『食農教育』(2005年7月号より抜粋) 農園での収穫は野菜やお米だけではない。。発達にハンディをもつ青年たちは、仲間と空の下で農作業をすることによって、厳しくも張り合いのある日々や、社会への参加という『内なる収穫』を得ているのだ、と著者は語ります。農作業を主な活動とする、ユニークな地域作業所の13年にわたる活動が、トラブルを起こしつつだけれど社会人として成長していく青年の姿、地域の人々や農業だいたくの学生との交流、そして著者自身の思い、願いを通して、誠実に描かれています。 『発達教育』(2005年8月号より) 『子どもとゆく』(05年4月1日号)、『食農教育』(05年7月号)、『家の光』(05年8月号)、『発達教育』(05年8月号)、『』日本農業新聞『(05年8月号)、『お元気ですか』(横浜市障害者支援センター広報誌05年9月号)、『田舎暮らしの本』(05年10月号)、『建築とまちづくり』(05年11月号)、『自然と人間』(05年12月号)、『かざぐるま』(05年12月号)、『公明新聞』(06年2月7日)、『Woman’s EYE』(06年10月号)で紹介されました。
グリーン農園は横浜市にある地域作業所。養護学校を卒業した「重度」の知的障害者である青年たちが、農作物を生産し、販売している。著者は学生時代からボランティアで障害児の訓練会に参加し、九三年から作業所の所長を務めている。
本書には、グリーン農園の仲間たちの農作業や人とのかかわりをとおした、さまざまなエピソードがたんねんに描かれている。それは「農作業の教育的効果」というのとはちょっと違う。
ブロッコリーの株の間をカニ歩きで移動しながら、黙々と青虫をさがしていた友男くん。気持ちのいい秋の日、里イモ堀りをしているときに、踊るように大きな里芋の葉を盛んに振り回していた誠二くんー。
農や土にふれることが、一人ひとりの個性を際立たせ、それぞれのおさまりどころを与えてくれるという感じなのだ。それを見出すことができるのは、宮沢賢治の『虔十公園林』をいつも思い描いているという著者のまなざしのやさしさだろう。