塩見直紀と種まき大作戦 編著
A5判/112ページ(カラー72ページ)/本体1600円+税
2009年11月/ISBN 978-4861870668
田んぼや畑に生きる人びとからの熱いメッセージ!
プロの有機農業者から、半農半X、家庭菜園やベランダ菜園愛好者、
有機農産物流通事業者まで、農のいろいろなスタイルがこの1冊にぎっしり。
土を愛するとは足下から平和を創り出していくこと!
プロローグ
土のある暮らし/Yae(半農半歌手)
土が産み出すもの/加藤登紀子(歌手)
スペシャルメッセージ
農哲学と恵み感受性ある世紀へ/塩見直紀(半農半X研究所代表)
Part 1 土の上で幸せ
大地に足をつけるとき/益戸育江(女優)
土は神様/白井貴子(シンガーソングライター)
泥が生き物や子どもを育む/永島敏行(俳優)
非常識を感じるための園芸/いとうせいこう(作家・クリエーター)
土までたどりつけば/UA(女性シンガー)
畑で過ごす人間らしい時間/MEGUMI(女優・バラエティタレント)
植物は生きている/水野美紀(女優)
インタビュー
土に種播くところから、社会を自給していく/
ハッタケンタロー(種まき大作戦実行委員会 企画・運営責任)
神澤則生(種まき大作戦実行委員会 事務局長)
Part 2 農人生に生きる
草・森・水・土・太陽を活かす農業/金子美登(霜里農場)
みやもと山からずっと/齋藤實(みやもと山)
食べられる土を作ろう/小泉英政(小泉循環農場)
食べられることだけやっていれば幸せ/浅野祐海(自然農)
地域自給で得られる安息/佐藤忠吉(木次乳業)
種を守り続ける/岩崎政利(種の自然農園)
(以下執筆者名のみ)
藤本博正(鴨川自然王国)・戸澤藤彦(花咲農園)・Yasu(自給自足的生活)・
山木幸介(三つ豆ファーム)・KAMMA(Love&Rice Field)・伊藤幸蔵(米沢郷牧場グループ)・
臼井太樹(水車むら農園)・冨谷亜喜博(さんぶ野菜ネットワーク)・宇都宮俊文(無茶々園)・
伊川健一(健一自然農園)・井上時満(穀物菜食と自然体験の家 なかや)・
五日市保之(自給自足)
Part 3 半農半Xで生きる
(執筆者名のみ)
なかじ(半農半蔵人・マクロビオティック料理家)・
エバレット・ブラウン(半農半フォトジャーナリスト)・森岡尚子(半農半アーティスト)・
デイヴィッドデュバル=スミス(半農半グラフィック・デザイナー)・
山川建夫(半農半フリーアナウンサー)・
きくちゆみ(半農半著作・翻訳家、環境・平和活動家)・
波多野毅(半農半塾代表・食育エコロジスト)・岡部賢二(半農半マクロビオティック指導者)・
林良樹(半農半地球芸術家)・山内美陽子(半農半造園プランナー)・
馬場勇(半農半ブルワー)・隅岡樹里半農半カフェオーナー)
Part 4 農の流通に熱くなる
役割を認め合う世界に/藤田和芳(大地を守る会会長)
農の豊かさを伝えたい/高橋慶子(東京朝市アースデイマーケット実行委員)
幸せを拡げられる仕事/清水仁司(がいあプロジェクト代表)
土から信用される生き方/磯貝昌寛(こくさいや代表)
土は偉い/田中昭彦(関西よつ葉連絡会事務局長)
いのちを愛しむ心を養う/岸健二(わらべ村)
大地の愛に気づく/伊藤志歩(やさい暮らし)
Part 5 農ライフでわくわく
(執筆者名のみ)
高坂勝&早苗(Organic Bar)・山田英知郎(MOMINOKI HOUSE)・
飯田雅子(棚田チャレンジボランティア)・木全史(新規就農準備中・
山戸ユカ(cha.na料理教室)・畑口勇人(東京農大醸造科学科)・
松澤亜希子(フォトグラファー)・石鍋明夫(風の谷工房代表)・土器屋桃子(築地市場勤務)・
久保木真理(おかげさま農場)・仁平加奈子(就農準備校への通学)・
松田ゆり(玄米ごはんとお菓子の店「油揚げ」)
エピローグ
「土と平和」という新しいマインドセット/辻信一(文化人類学者)
書評オープン 『朝日新聞』(2009年11月14日より) 「農」がブームだ。農作業は心身を癒し、環境問題にも貢献できる??。農業経営者から見れば「経営的にやっていけるのか」などと心配する声も出そうだが、登場する70人はいずれも土をいじり、作物を作ることに生き甲斐を感じ、熱いメッセージを語る。 『日本農業新聞』(2009年11月30日より) 『朝日新聞』(09年11月14日)、『日本農業新聞』(09年11月30日)、『自然と人間』(09年12月号)、『ガバナンス』(No.105、10年1月号)、『やさい畑』(10年春準備号)、『いなかスイッチ』(vol.8、10年早春号)で紹介されました。
「農」が注目されている。さまざまなスタイルで農にかかわる70人のメッセージを集めたのが、この本。いとうせいこう、UAといった有名人から、農家、耕しつつやりたい仕事をして生計を立てる「半農半X」の生き方をする人、流通関係者。土に触れる実感に根ざしたそれぞれの言葉が興味深い。
NHK「産地発!たべもの一直線」の司会者で俳優の永島敏行さんは、「子どもを泥まみれで遊ばせたい」との思いで、秋田県で米作りをし、現在は千葉県で生産者と消費者の交流に力を注ぐ。シンガーソングライターの白井貴子さんは、南伊豆の森を購入して1ヶ月の半分を過ごす。「自分の命イコール土であり、地球である。そこに愛情をかけるのは人間の生きていく基本」と語る。
登場するのは芸能人(7人)だけではない。各地で農にこだわりを持ちながら活躍するプロ農家、農業と独自の仕事を兼業する「半農半X」の人らが、それぞれ2ページで写真入りで、メッセージを語る。
昨年秋以降の世界同時不況は、これまでのグローバル化の顛末(てんまつ)ではないか。これに対し、著書に登場する面々の思想は、いずれもグローバル化の対極となるローカライゼーション(地域化)の思想である。
終章で文化人類学者の辻信一さんは「日本でも農と食と地域というキーワードを軸に静かな革命が進行中だ……それは“奪い合いの経済”から“分かち合いの経済”に置き換わる新しい社会の始まり」と指摘する。
「熱いメッセージ」は、従来の農の見直しとは違い、個人の生き方を基軸にしたことが特徴だ。内容はさまざまだが、時代を映す鏡として理解したい。