天空企画編
島尾伸三、吉村喜彦、宮城能彦、保坂展人ほか
四六判/208ページ/本体1800円+税
2010年7月/ISBN 978-4861870712
過酷な歴史の中でも変わらずに続く沖縄の豊かさ!
自然と向き合い、小さな農や人と人のつながりを大切にする暮らしは、日本がめざす方向をはっきり示唆している
「多彩な書き手が琉球を論じる掘り出しものの逸品本だ!
沖縄再生のヒントがあちこちで発見できる楽しさも満載。」
岡留安則氏推薦!(『噂の眞相』前編集長、沖縄在住)
プロローグ 夢幻琉球
第1章 大地の恵みと豊かな自然に種を播く
◆長寿を取り戻す食べ方と生き方
◆長寿の源 島野菜
◆「アグー」と「あぐー」の不思議―ホンモノの琉球在来豚を守る
◆海人の心意気 マングローブとともに生きる ―「生命のゆりかご」からのメッセージ
第2章 ウチナーンチュの底力
◆村落共同体の象徴としての共同売店
◆小さな集落(シマ)の底ヂカラ
◆ガマフャーのウムイ―沖縄戦遺骨収集ボランティアの活動
◆食べ物を支援するNPOフードバンク
◆沖縄歳時記
◆ウチナーグチ 沖縄方言●ことばのプチガイド
第3章 先人たちの祈り、そして今
◆アイデンティティーと独立
◆郷土月刊誌『青い海』のころ ―伝説の雑誌と編集人・津野創一
◆安田(あだ)のシヌグと回帰する時間
◆つながりをつくる―コミュニティ・オーガナイジングの可能性
新垣 誠(あらかき・まこと)
1966年、沖縄県那覇市生まれ。沖縄キリスト教学院大学准教授、沖縄NGOセンター代表理事。国際関係論専攻。2005年に学生と国際協力NGO「ONE LOVE」を設立。共著=『オキナワを平和学する!』(法律文化社、2005年)など。
石川清和(いしかわ・きよかず)
1960年、沖縄県今帰仁村生まれ。医師・今帰仁診療所長。共著=『医療再生』(農山漁村文化協会、2008年)。
大嶺 隆(おおみね・たかし)
1949年、東京都生まれ。(財)沖縄協会流動研究センター研究員。共著=『アジアウオッチング』(ダイヤモンド社、1987年)、『沖縄ポップカルチャー』(東京書籍、2000年)、『沖縄ロハス』(山と渓谷社、2006年)など。
島尾伸三(しまお・しんぞう)
1948年、兵庫県神戸市生まれ生まれ。奄美大島育ち。写真家。両親は作家の島尾敏雄・ミホ。著書=『中国茶読本』(平凡社、1996年)、『月の家族』(晶文社、1997年)、『東京~奄美 損なわれた時を求めて』(河出書房新社、2004年)、『小高へ』(河出書房新社、2008年)、『中華幻紀』(usimaoda、2008年など多数。)
高橋 進(たかはし・すすむ)
1953年、東京都生まれ。72年に沖縄へ移住詩、音楽やイベントプロデュースに従事。阿嘉島臨海研究所那覇連絡事務所所長(沖縄件サンゴ礁連絡会議主幹)、(財)沖縄観光コンベンションビューロー「大琉球まつり王国」総合プロデューサーを経て、2003年に琉球リカーサポートを設立。
永峰眞名(ながみね・まな)
1950年、大阪府生まれ。編集者・(財)兵庫沖縄協会機関誌『榕樹』編集担当。1975~82年に沖縄の郷土月刊誌『青い海』の創刊者・津野創一氏の追悼集『青い海の彼方へ』(ニライ社、1993年)、『島を出た民の戦争体験集』(沖縄県人会兵庫県本部、1995年)などを編集した。
馬場繁幸(ばば・しげゆき)
1947年、北海道生まれ。琉球大学熱帯生物圏研究センター教授、NPO法人国際マングローブ生態系協会事務局長。主著=『海と生きる森―マングローブ林―』(国際マングローブ生態系協会、1998年)、『マングローブ植林のための基礎知識』(共著、国際緑化推進センター、1999年)。
保坂展人(ほさか・のぶと)
1559年、宮城県生まれ。16歳で内申書の内容を争う原告となり、定時制高校を中退。教育ジャーナリストとして活動。96年の総選挙で社民党から初当選。3期務めた在任中の質問回数は546回を数え、「国会の質問王」の異名をとった。
眞喜志敦(まきし・あつし)
1971年、沖縄県豊見城村生まれ。雑誌・映像編集者を経て、NPO法人エコ・ビジョン沖縄研究員、(有)えこふぁーむ沖縄駐在員。農業や環境、地域をテーマに活動。2004年に共同売店ファンクラブを設立(「共同売店ファンクラブ Official Blogはhttp://kyoudoubaiten.ti-da.net/ ※7月22日のブログでは、本を紹介されてます)。
宮城能彦(みやぎ・よしひこ)
1960年、沖縄県那覇市生まれ。沖縄大学教授。村落社会学・地域社会論専攻。主著=『日本人のアイデンティティ―教育―沖縄問題を通じて―』(東京財団、2007年)、『共同売店―ふるさとを守るための沖縄の知恵―』(沖縄大学地域研究所発行、沖縄教販発売、2009年)など。
三輪大介(みわ・だいすけ)
1970年、福岡県生まれ。10代に白保の海と宇井純に出会い、沖縄へ移住。大学で環境の仕事に従事した後、京都に場所を移して本格的な学生生活を満喫中。専門はコモンズ論。共著=『グローバル時代のローカル・コモンズ』(ミネルヴァ書房、2009年)、『海と山の恵み』(ボーダーインク、2010年)など。
吉村喜彦(よしむら・のぶひこ)
1954年、大阪府生まれ。サントリー宣伝部勤務を経て作家。著書=『漁師になろうよ』小学館、2003年)、『ビア・ボーイ』(新潮社、2006年)、『食べる,飲む、聞く 沖縄 美味の島』(光文社、2006年)、『オキナワ海人日和』(創英社/三省堂書店、2008年)など多数。
◆智内好文(天空企画)
沖縄カルチャーブック『ウチナーポップ』(東京書籍)を1992年に、アジア・沖縄・コリアをテーマにしたCD『アジアン・ノスタルジア』(ポニーキャニオン)を95年に、企画プロデュースした。
編書に、『沖縄スタイル』(光文社、00年)、『沖縄ポップカルチャー』(東京書籍、00年)、『沖縄的人生』(光文社、01年)、『コリアン・スタイル』(光文社、02年)、『島唄 オキナワ・ラプソディ』(荒地出版社、02年)、『琉球の伝統工芸』(河出書房新社、02年)、『沖縄ウミンチュ』(河出書房新社、03年)、『オキナワ・ドリーム』(光文社、03年)、『オーストラリア楽農パラダイス』(東京書籍、03年)、『リアル沖縄』(枻出版社、04年)、『琉球の染めと織り』(河出書房新社、05年)、『リアル韓国』(山と渓谷社、05年)、『人工社会』(幻冬舎、06年)、『沖縄ロハス』(山と渓谷社、06年)、『沖縄プチ移住ガイド』(KKベストセラーズ、07年)、『東アジア四千年の永続農業』(農山漁村文化協会、09年)、『沖縄チューン』(扶桑社、09年)などがある。
書評オープン 『琉球新報』(2010年7月19日) 沖縄の食文化や農業、漁業、共同店や伝統行事などを通して、沖縄のパワーの源を探り、再生のヒントにしようという一冊です。 (月刊『榕樹』10年9月号より) ウチナー・パワーとは沖縄力のこと。食や農業、医療、漁業など、沖縄の豊かさをさまざまな側面からたっぷり語る。沖縄男性の平均寿命が縮んだのは伝統的食生活を変えたから、など示唆に富んでいる。 (『毎日新聞』10年9月15日より) 『琉球新報』(10年7月19日)、『ガバナンス』(10年8月号、No.112)、『出版ニュース』(10年9月上旬号)、『榕樹』(10年9月号)、『毎日新聞』(10年9月15日)、『図書新聞』(10年12月18日)で紹介されました。
(一部抜粋)第1章は「大地の恵みと豊かな自然に種を播く」をテーマに長寿を取り戻す食べ方と生き方などについて識者が提案した。「ウチナーンチュの底力」をテーマに、共同売店について著したのは沖縄大学教授の宮城能彦さん。共同売店が「人々の結びつきを守る最後の砦」で「共同体再生の要」と指摘している。
第3章では『先人たちの祈り、そしていま」をテーマに郷土月刊誌「青い海」について編集・制作に携わった永峰眞名さんが数々のエピソードとともに振り返っている。
発酵したコモンズ大江社長は「開発優先主義できた日本の側に『遅れている』との評価をされがちだった沖縄が実は豊かな文化を育み、先進的であったことを教えている。沖縄再生の書であると同時に日本再生のヒントでもある」と同書の意義を話している。
本書の特徴は現場の生の声が、当事者によって紹介されているということ。たとえば純粋なアグーを育てている山本大五郎さんの現状に対する嘆き、西表島のマングローブの一種ミルスベリヒユを食用にできないかと模索する馬場繁幸さん。那覇新都心の免税店のすぐそばで、いまも埋まっている沖縄戦当時の遺骨収集を続ける具志堅隆松さんの訴え。
写真家の島尾伸三さんは、「不幸を克服する知恵や工夫も、結局は沖縄の不可解な魅力のひとつ」と沖縄の底力を表現しています。