協同で仕事をおこす―社会を変える生き方・働き方[4刷]

広井良典編著
四六判/252ページ/本体1500円+税
2011年11月/ISBN 978-4861870828

自ら出資し、働き、経営する。
そして、地域福祉、子育て支援、公共サービスなど多くの分野で人と地域に役立つ仕事を創り出す。

【 21世紀の新しい働き方=協同労働の世界 】

を具体的に描いた1冊!

 

目次

ロローグ 震災復興と協同労働  永戸祐三×広井良典
1 脱成長社会への道
2 都市と農村をつなぐ協同労働
3 地域の自立と循環をめざして

1 みんなで出資し、責任を分かち合い、仕事をおこす  田中羊子
1 東北にこそ日本社会を変える力がある
2 ワーカーズコープの理念と原則
3 市民・地域主体の新しい日本社会の創造へ
《現場からの声》お金は後からついてきた●岡元かつ子

2 サラ金も解決、葬儀もやります●東京都墨田区  高成田健・松沢常夫
1 困ってたら、ほっとけない
2 利用者本位のケアサービス
3 親密な関係を生み出す協同労働
4 家族のように支えるケアをめざして
《現場からの声》生活保護受給者の就労を支援●小澤真

3 子育て支援の輪 どこまでも●福岡県大野城市  松沢常夫
1 ワーカーズ? 何それ!
2 労協宣言
3 怒濤の攻め
4 自前の事業をつくる
5 人を敬う労働
《現場からの声》お腹も心も満腹になる児童館をめざして●杉山由美

4 自分たちも地域も元気に●鹿児島県霧島市  川地素
1 なんでも、まずやってみる
2 管理しない学童クラブ
3 食育から農業へ
4 原則を守りながら広げる
5 共感を引き出す
《現場からの声》面接の不採用者と一緒に仕事をおこす●平井英之

5 若者を応援したい●北海道釧路市  原戸僚子
1 若者の就労を支えるサポートステーション事業
2 商店街とともに
3 ステップアップの場を地域に設ける
4 支え合える職場
《現場からの声》菜の花プロジェクトで若者に働く場を●湯本理沙

6 買い物難民を救え●長野県諏訪市  川地素・海野隆司
1 買い物ができない
2 急展開で出店へ
3 顔が見える小さな商店街
4 労協の理念の結実
5 地域の共同財産
《現場からの声》高齢者が始めたコミュニテイ食堂●中村多恵子

7 経営危機を乗り越え、次へ●宮城県大崎市  本田真智子
1 予防重視のデイサービスを始めてみたが……
2 閉鎖の危機と意識改革
3 デイサービスのイメージ変化と効果
4 小規模多機能型施設の開設
《現場からの声》演劇をとおして高齢者が元気を発信●小西金太郎

8 障がい者と共に仕事を創る●奈良県奈良市   川地素
1 仕事を人に合わせる
2 協同労働という働き方
3 新しい事業に踏み出す
《現場からの声》院内感染を防ぐクリーンキラーAの開発●古谷直道

あとがき 藤田徹

 

編著者プロフィール

広井良典(ひろい・よしのり)
千葉大学法経学部教授。
1961年、岡山県生まれ。東京大学大学院修士課程修了後、厚生省勤務を経て、96年より千葉大学法経学部助教授、2003年より教授。主著に、
『定常型社会』(岩波新書、2001年)、『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書、2009年)、『創造的福祉社会』(ちくま新書、2011年)など。

 

書評

書評オープン


資本主義、市場経済が行き詰まった中で、これまでの労働の価値を「雇用労働」から「協同労働」に置き、理論と実践を伝える。副題は「社会を変える生き方・働き方」。実践では、子育て支援、百貨店倒産による買い物難民への対応、障害者に仕事をつくる取り組みなどを掲げる。監修は日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会。

『日本農業新聞』(2011年12月5日)


経済成長一辺倒の日本社会のあり方を見直し、持続可能な社会を創り出すことが求められている。そのためには、自社の利益のみを追求するような労働のあり方を根本的に見直さなければならない。
本書を監修した日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会に所属する組織は、働く人自身が出資・経営・労働を担う。自らの労働の本質を「雇用労働」に対して、「協同労働」と位置づけている。協同労働とはどんなものかという疑問に答えるとともに、新しい生き方・働き方を模索する人々に、具体的な活動ルポを通じて、その本質をわかりやすく教えてくれる。プロローグの「震災復興と協同労働」の対談も興味深い

『ガバナンス』(2012年1月号)


『日本農業新聞』(11年12月5日)、『日刊ゲンダイ』(11年12月15日)、『ガバナンス』(12年1月号)、『ふぇみん』(12年1月15日号)、『出版ニュース』(12年2月上旬号)、『「若者/支援」を読み解くブックガイド』(2020年、かもがわ出版)で紹介されました