原発も温暖化もない未来を創る

平田仁子(気候ネットワーク)編著
四六判/197ページ/本体価格1600円+税
2012年8月/ISBN-13: 978-4861870965

原発をなくしても温暖化は加速しない!
環境・エネルギー問題に精通した市民団体が実証的なデータから、
原発にも化石燃料にも依存しない近未来の社会と経済を描く。
政府の方針が正しいのかを検証するための格好のテキスト。

 

目次


プロローグ 環境を犠牲にせず、原発に依存しない社会へ8
1 市民団体による現実的な検討 8
2 福島原発事故後の政府によるエネルギー・環境戦略の見直し 9
3 3つの選択肢が意味すること 14
4 第4のシナリオが必要だ 18


第Ⅰ部 エネルギー・環境の論点 21


第1章 限界と制約――原発・気候変動・化石燃料 22
1 原発の限界と制約 23
2 気候変動の限界と制約 31
3 化石燃料の限界と制約 37


第2章 産業構造の転換とエネルギー 46
1 経済とエネルギーの関係の国際的変化 46
2 不自然な政府の想定 50
3 産業構造の転換 57


第3章 「負担」か「未来への投資」か 61
1 国民の負担・経済への影響の考え方 61
2 再生可能エネルギーと化石燃料の経済への影響 72
3 原発に依存しない地域経済の再生 78
[コラム1] 東北・2020年自然エネルギー100%シナリオ 90


第4章 持続可能な2030年の日本への選択 92
1 省エネ・再エネ切り替え社会へ 92
2 地域分散型の電力システムへ 98


第Ⅱ部 原発をなくし,化石燃料を減らす 109


第1章 市民団体の5つのシナリオ 110
1 3・11後の中長的な戦略的エネルギーシフト●環境エネルギー政策研究所 110
2 “3つの25”は達成可能だ●気候ネットワーク 115
3 自然エネルギー革命シナリオ●グリーンピース・ジャパン 120
4 脱原発とCO2排出25%削減の両立は可能●地球環境と大気汚染を考える全国市民会議 125
5 脱炭素社会に向けたエネルギーシナリオ提案●WWFジャパン 130
[コラム2] 世界の長期エネルギーシナリオ 134
6 5つのシナリオの特徴 138


第2章 持続可能な社会は実現できる 147
1 日本のエネルギー需給の実態 148
2 省エネの実現可能性 151
3 再生可能エネルギー導入の実現可能性 165
4 温室効果ガス排出量削減の実現可能性 176
5 明確な政策目標の設定 182


2050年を見据えて●あとがきに代えて 189

 

著者プロフィール


平田仁子
NPO法人 気候ネットワーク 東京事務所所長
1970年熊本県生まれ。聖心女子大学卒業後、出版社勤務、96年より米国NGO「Climate Institute」での活動を経て、98年より気候ネットワークに参加。
2007年より現職。環境NGOの立場から、国内外の気候変動政策の研究や政策提言、情報提供などに取り組んでいる。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)交渉では、諸外国の環境NGOが連携するCAN Internationalの政策調整グループメンバー。08年からは、気候変動を防ぐ立法を求めるMAKE the RULEキャンペーンを立ち上げ、事務局長を務めた。エネルギーシナリオ市民評価パネル報告書の主執筆者。東京都環境審議会委員。CAN International理事、「動く→動かす」運営委員。
【著書】『新版 よくわかる地球温暖化問題』気候ネットワーク編・中央法規出版・2009年(共著)、『地球温暖化防止の市民戦略』気候ネットワーク編・中央法規出版・2005年(編集代表)など。

 

書評

 

書評オープン

 原発事故は、これからの日本のあり方を多くの人に問いかけました。著者は、環境問題に取り組んできたNPO法人気候ネットワーク東京事務局所長。政府が示す三つのシナリオどれもが、地球温暖化対策を後回しにしている、と警告します。四つ目のシナリオ、原発依存でも化石燃料依存でもない「省エネ・再エネ切り替え社会」を提案します。
日本の五つの環境NGOが描くシナリオも収録。これからのエネルギーと環境問題を考えたい人にぴったりの一冊です。

『赤旗新聞』(2012年9月16日)


『赤旗新聞』(12年9月16日)、『日本農業新聞』(12年10月7日)、『環境技術』(12年9月号)、『ガバナンス』(12年10月号)、『出版ニュース』(12年11月号)に紹介されました。