幸せのマニフェスト ――消費社会から 関係の豊かな社会へ

ステファーノ・バルトリーニ 著、中野佳裕 訳
四六判/360ページ/本体価格3000円+税
2018年8月/ISBN:978-4-86187-152-8

誰もが幸せになりたい。だが、多くの人たちが幸せとは感じていない。
その根本的な原因は関係性の質の悪化である。
そして、最も模倣してはならないのが米国だ。
先行研究によれば、消費主義に大きな価値を置く人は、
そうでない人と比べて幸福度は低く、
不安や苛立ちの諸症状やうつ病の高いリスクを抱えている。
多くのデータと多方面にわたる考察から、現代社会の不幸せの原因を探り、
解決の方向性を示す。

 

目次

日本語版への序文

序 章 幸福の逆説


第Ⅰ部 短いマニフェスト
1 現代社会の病理
2 病の原因 ――価値観の変化
3 病の治療法 ――関係を豊かにする政策


第Ⅱ部 米国 ――模倣すべきではない事例
1 米国人がいつも不幸せで、常に長く働かなければならないのはなぜか?
2 関係性の悪化が経済成長を生む


第Ⅲ部 関係の質は何に依存するのか?
1 市場、価値、関係性
2 欲望の製造 ――マスメディア
3 人間は商品を買うために生まれたのか?
4 人間は働くために生まれてきたのだろうか?
5 我々はどのような生き物なのだろうか?


第Ⅳ部 幸せのための政策
1 都市生活 ――関係の豊かな都市をつくる
2 子どものための政策
3 広告に対する政策
4 民主主義を変える
5 働き方をどう変えるか
6 健康のための政策
7 関係を豊かにする政策への反論


第Ⅴ部 2008年の金融危機
1 恐るべき米国の消費者の誕生
2 防御的資本主義の内部爆発
3 何をすべきか?
4 オバマ政権を振り返る


第Ⅵ部 関係の豊かな社会は可能だ
1 可能な現実の要素
2 20世紀は終わった


〈解説〉 関係の豊かさとポスト成長社会
1 はじめに
2 翻訳の経緯
3 『幸せのマニフェスト』を読む
4 日本への示唆―関係の豊かな社会は可能だ

著者プロフィール

ステファーノ・バルトリーニ
イタリアのシエナ大学政治経済・統計学部准教授。ロバート・パトナムの社会関係資本の研究に影響を受け、経済成長と開発が先進社会の幸福度、社会関係、生活環境に与える様々な影響を分析する研究をイタリアで牽引している。2010年にイタリア語で刊行された『幸せのためのマニフェスト』は、ポスト成長社会の展望を「関係の豊かさ」に焦点を当てて考察する良書である。本国でベストセラーとなるほか、ヨーロッパ各国語に翻訳され好評を博している。日本語特別編集版では、欧米諸国における右派ポピュリズムの台頭の背景やマスメディアで取り上げられない急進左派運動の躍進についての分析など、2010年代の混迷する世界情勢についての考察を新たに加えている。

 

書評

 

書評オープン