2019年4月/ISBN 978-4-86187-158-0
Chapter1 基地引き取り運動に寄せられたメッセージ
引き取り運動に寄せて――高橋哲哉
沖縄の「県外移設を求める声」は、エリートやリーダーではなく、庶民から出てきたものだ――知念ウシ
この道しかない――木村草太
「また一人現れたか」の一人であることをやめるために――初沢亜利
難しいけれども――津田大介
Chapter2 なぜ、いま、基地引き取りか
新しい「自治」の創出を求めて《新潟から》
「自分の基地問題」として考えてみませんか《首都圏から》
沖縄に対する日本の植民地主義を克服するために《大阪から》
引き取り運動バッシング
沖縄の人たちと出会い直すために《福岡から》
愛(いとお)しい暮らしを共有する視点《長崎から》
野村浩也『無意識の植民地主義――日本人の米軍基地と沖縄人』
Chapter3 キーワードから読み解く基地引き取り論
「琉球処分」を振り返る
いわゆる学術人類館事件とは何か
「植民地争奪戦」としての沖縄戦
なぜ沖縄に米軍基地が集中したのか
捨て石とされた沖縄――サンフランシスコ講和条約
捨て石にはさせない――島ぐるみ闘争
沖縄の「日本復帰」
全国知事へのアンケート
政治の流れを変えた少女暴行事件
「オール沖縄」が生まれた理由
主権国家ではあり得ない日米地位協定
ポジショナリティ――問われる結果責任
海兵隊が駐留する必要はあるのか
沖縄の自己決定権
玉城デニー知事誕生と辺野古埋め立て強行
翁長雄志・前沖縄県知事を悼む
知念ウシ『シランフーナー(知らんふり)の暴力――知念ウシ政治発言集』
高橋哲哉『沖縄の米軍基地――「県外移設」を考える』
Chapter4 基地引き取り論への批判に応える
基地はどこにも要らないはず / 性暴力まで引き取るの?
安保体制の固定化につながるのでは?/ 沖縄にも基地賛成派がいるのに、基地を引き取るの?
基地の引き取りは「抑圧の移譲」にすぎないのでは?/ 近隣諸国の脅威があるのでは?
新しい提案実行委員会編『沖縄発新しい提案――辺野古新基地を止める民主主義の実践』
日本人とは誰のことか?
Chapter5 基地引き取り運動Q&A
どこへ引き取るの? / 引き取って終わりですか?
「総論賛成・各論反対」「NIMBY」をどう乗り越えるのですか? / 各地の引き取り運動ニュース
琉球・沖縄と日本(ヤマト)それぞれの歩み
大田昌秀と沖縄
基地引き取り運動をしている各地のグループ。2015年発足。大阪、福岡、長崎、新潟、東京、山形、兵庫、滋賀、埼玉、北海道の全国10か所で活動を続けている。沖縄県だけが70%もの在日米軍基地を背負う現状は差別だと考え、「本土」の人間の責任として、歴史的・政治的に沖縄に追いやった米軍基地を「本土」に引き取ることを考える行動
◆沖縄に応答する会@新潟
◆沖縄に応答する会@山形
◆沖縄の基地を引き取る会・東京
◆引き取る行動・大阪
◆引き取る行動・東京
◆本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会:FIRBO
書評オープン ◆著者の一人、左近幸村さんの論稿が『琉球新報』「論壇」に掲載されました 『琉球新報』(2019年4月17日) 基地問題を自分のこととして考えてもらうため、札幌、山形、新潟、東京など全国10の市民団体のメンバーが執筆した。同書によると1950年代、米軍基地は33都道府県にあったが、60年代から国土面積の0.6%にすぎない沖縄に移転。今では70%が集まる。それは、基地を集まる。それを、基地を沖縄に押しつける政権を選んできた「本土」の多数派の差別だと指摘する。(中略) 批判と疑問に答えるQ&Aも掲載。東大大学院教授の高橋哲哉さん、沖縄のライター知念ウシさん、憲法学者の木村草太さんらがメッセージを寄せている。 『北海道新聞』(2019年4月27日) 全国で「基地引き取り運動」をしているメンバーがそれぞれの思いをつづり、本土の人たちに自らの問題として考えるよう呼び掛けている。基地負担を沖縄に押し付けてきた本土側の責任を問い、沖縄県以外の自治体が基地を受け入れるべきだと提唱してきた引き取り運動が、新潟や長崎など全国の10団体にまで広がった経緯や、沖縄の歴史を紹介。「基地はどこにも要らないはず」「『総論賛成・各論反対』をどう乗り越えるのか」などの批判や疑問にも答えた。 『東京新聞』(2019年5月11日) 米軍基地の本土への移設を訴える市民団体が4月に刊行した「沖縄の米軍基地を『本土』で引き取る!」(コモンズ)。15年3月の大阪以降、福岡や首都圏、新潟など約10団体が発足しており、活動に至った経緯や思いなどを記している。 編者の一人、新潟大准教授の左近幸村さん(39)は日米安保体制の維持を支持し、「安全」という恩恵を受けている本土の自分たちこそが、結果的に沖縄への基地押し付けに加担している――と考えている。 専門はロシアの歴史。「基地を本当に本土に引き取れるのか」と問い詰められることもある。でも、解決法がすぐにわからなくても疑問の声を上げなければ、政府のやり方をただ認めることになる。「沖縄の基地問題を考えることは、安全保障や民主主義、地方自治など、じぶんたちの社会をとらえ直すことだと思っています。」 『朝日新聞』(2019年5月15日) ◆新聞:『琉球新報』(2019年4月13日)、『沖縄タイムス』(2019年4月25日)、『北海道新聞』(2019年4月27日)、『毎日新聞』(2019年5月7日)、『共同通信』(2019年5月11日)、『沖縄タイムス』(2019年5月11日)、『東京新聞』(2019年5月11日)、『朝日新聞』(2019年5月15日)、『西日本新聞』(2019年5月16日)、「労働法学研究会報」(2019年5月15日)、女の本屋(2019年5月24日)、ガバナンス(2019年6月号)、『自治研』(2019年6月号)、『通販生活』(2019年盛夏号)、『新潟日報』(2019年6月23日)、『ふぇみん』(2019年6月25日号)、『西日本新聞』(2019年7月28日)で紹介されました。 ◆テレビ:
無責任な発言の「責任」—沖縄の米軍基地を「本土」に
「私がこの運動にかかわっているのは、自分が住んでいる国の民主主義の在り方を問いたいからである。つまり「自分のため」である。」と結んでいます。
『QABNEWS HEADLINE:琉球朝日放送報道制作局Qプラス』(2019年5月15日)
『NHKロクいち!福岡』(2019年5月17日)